わたしの家族構成は、祖父、祖母がいて、そして父、母、姉、わたしの6人家族でした。祖父母は戦争を経験した時代の人。それはもう、厳しい人でした。孫のわたしがそう思うくらいですから嫁である母はずいぶん苦労したと思います。
本来、母を守らないといけない父は・・・。平和主義で誰とも争いたくないタイプでした。そんな父が自分の母親に歯向かうことなんてもちろん考えたことはなかったでしょう。父は昔ながらの亭主関白の男でした。主婦は家のことをするものだと言う考えの人でした。時代が時代ですから仕方はないのですが。
母は大好きだった仕事も結婚を機にやめ、家庭にはいり姉とわたしを授かり一生懸命がんばっていたのでしょう。しかし・・・。それを認めてもらえることはなく、苦しい胸のうちを父にも誰にも相談が出来ずに家の中で一人ぼっちだったのでしょう。
その反動からか借金をしてしまい、その借金が莫大に膨れあがり・・・。とうとう自分ではどうしようもなくなり借金のことを隠せなくなり厳しい祖父母にもバレてしまいました。ひどく責められたことを苦にして・・・。
ある日、突然・・・。まだ小さかった姉とわたしを置いて失踪をしてしまいました。父に残した置手紙には「もう死にたい・・・」と、書いてあったそうです。
母が突然いなくなり、母を大好きだったわたしは・・・。それはそれは泣きじゃくりパジャマ姿で裸足で母を捜したそうです。そして無事に母が戻ってきて安堵したと同時に・・・。病院に入院してしまいました。わたしは母がいなくなったときから入院するまでの記憶がプツリと抜けていたので母が失踪したことを知ったのは20歳のとき。姉からそっと聞かされました。
そのとき、なぜか忘れていたはずのその時の情景をフッと思い出したのです。
本当は忘れてなんかいなかったのです。ただ・・・。母親に置いて行かれた寂しい自分を思い出すことも認めることも怖かった。だから記憶をどこか遠くへと押し込めていただけだと・・・。今なら、冷静に受け止めることができます。
だけど、当時のわたしはそんな冷静に受け止めることが出来ませんでした。
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克服体験談